日本酒4

4度目の工場勤務は福井県敦賀市亜鉛焙焼の硫酸工場であった。敦賀工場で焙焼した鉱石を富山の製錬所に送り亜鉛を作り、敦賀では焙焼ガスから硫酸を作っていた。この時期には日本の亜鉛精錬はアルミ精錬と同じで輸入に押され斜陽化し、何れは工場停止の運命にあった。10年近く硫酸製造を維持したが結局工場を停止した。敦賀には13年単身生活をした。敦賀では地元に福寿杯と言う地酒は有ったが飲んでいたのは勝山の一本義という酒が主だった。然し福井の銘酒と言えば何と言っても黒龍で有り、特に黒龍のしずくは銘酒中の銘酒で、4合瓶1.5万円と言う値段でチョット口にする事は出来なかった。しずくとは醪を袋に入れ吊るして自然に落ちる雫を集めた酒で、手間もかかり大変貴重な清酒で、作っている酒蔵は少ない。何とも言えない香りと味では有るがおいそれと口にできる物でない。それでも2、3度は飲んだ。横浜に帰って来てから一度だけ、見かけた事はあるが殆ど何処にも無い。

f:id:Fnishi:20180908175414j:image